神経症

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神経症

昔から精神科医の間で、「うつ病」と見分けることが重要だとされてきたのが「神経症」です。

神経症はドイツ語ではノイローゼといいます。
一般の方にはおそらく、こちらの呼び方のほうがなじみがあるでしょう。

神経症とは、一言でいうと、不安な気持ちを自分でコントロールできなくなる「心の病気」です。精神的な原因、つまり環境的なストレスやショックからくる心理的葛藤によって発症すると考えられています。

一般的には、中心となっている症状の特徴によって「不安神経症」、「ヒステリー神経症」、「恐怖神経症」、「強迫神経症」、「抑うつ神経症」、「心気神経症」などに分類されていますが、どのタイプの神経症にも共通してみられる症状は「不安」です。

健康な人でも日常的にさまざまな不安を経験しますが、正常な不安は自分の病気、近親者の死、離婚、試験、解雇など、不安になる理由が本人にも周囲にもあきらかです。

しかも、たいていの場合は一晩ぐっすり眠れば軽くなる程度のものであり、まれに長くても数ヶ月で回復します。

これに対して病的な不安は、不安になった理由がはっきりせず、そのため自分でも言葉に表現できないまま、周囲にも理解してもらえません。

この不安は本人にとっては耐え難いほど強いもので、しかも長期間つづきます。

神経症の症状は心身両面にさまざまな形であらわれます。しかし、主に共通するのは、不安のほかに、イライラ感、緊張、興奮、恐怖、脅迫、不眠、倦怠感などです。

不安が起こると、自律神経の働きを介して、動悸、呼吸困難、めまい、吐き気、体のふるえなどの身体症状も起きてきます。

このような神経症うつ病とは、まったく別の病気です。けれども、外来で受診する患者の中には、うつ病か神経症かの診断がむずかしい症例が増加していることも、多くの精神科医が指摘するところです。

抑うつ症状はうつ病に最もよくみられるものであり、不安症状は神経症によくみられるものです。ただ、実際には、この両者が複雑に絡み合って区別しにくいことも多いのです。

初期には不安症状がみられ、神経症だと思われていたのが、時間がたつにつれて抑うつ症状があらわれて、実はうつ病だということがわかったりします。

あるいは、その逆のケースもあります。不安症状と抑うつ症状が同時に存在することも多く、この両者の区別は容易なことではありません。

なかでも「抑うつ神経症」は、ゆううつで重苦しい気分、外界への関心の低下、自信喪失、未来への悲観などを主症状とする神経症で、うつ病との区別がつきにくい病気です。

うつ病と神経症の中間に分類する研究者がいる一方で、うつ病とは本質的に異なる物であるとの考え方もあります。

うつ病と神経症の違いとしてまずあげられるのは、なりやすい人の性格のタイプです。

うつ病になりやすいのは社交的で親しみやすい、あるいはまじめで責任感が強く、几帳面な人が多いとされているのに対して、神経症になりやすいのはもともと自己中心的で未熟、つまり自分に都合の悪いことは他人のせいにしたがる傾向があり、いわゆる神経質な人が多いとされています。

また、うつ病では表情や態度が沈みがちであり、口数も少ないのですが、神経症では表情や態度はさほど暗くはなく、心身の具合の悪いことをねちねちと訴えたり、むしろ多弁です。

さらに、うつ病では自殺行為に走ることも少なくありませんが、神経症は自殺を口にすることはあっても、実際にそうした行動をとることは、うつ病にくらべるとはるかに少ないことが知られています。

治療法についても、うつ病は休養と抗うつ薬による薬物療法が主役となりますが、神経症は精神(心理)療法的アプローチが中心となり、用いられる薬剤は抗不安薬となります。

したがって、適切な治療を行うには神経症なのか、うつ病なのかをはっきり区別しておくことが不可欠です。


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